ゲームとか色々

気分によってブログの文章が丁寧語になったりならなかったりします。

冴えカノお気持ち表明

  率直に言ってこの作品の良さが全く持って分からなかった。その理由は色々とあるし、言いたいことも言えないままでは嫌だから、とりあえず書いて整理しようという意図でこの記事を作った。以下、項目にまとめて記述する。

 

・度重なる迷惑行為

  この作品では主人公達がカフェ集まって会話するシーンが頻繁に登場する。しかし、そのカフェ内で行われる主人公達の行動があまりにも酷すぎる。店内で大声で騒ぐ、通路で土下座して通行を妨害、机の下で蹴り合いを始めるなどである。普通ならここで主人公達が店や周りの客に謝罪する、店員が主人公達を注意する、などの行動があって然るべきなのだが、そんな描写は一切なかった。迷惑行為を何度も繰り返しているのにである。

 

・ヒロイン達による罵詈雑言の浴びせ合い。

  恐らくあまりに辛辣な言葉を浴びせ合うことで笑いを取ろうとしているのだろうが、見ていて気持ちいいものではないし、笑うなど以ての外である。アメリカ映画などでよくある皮肉やジョークをイメージしたのかも知れないが、不快感を感じさせない爽やかさや巧な表現が演出できている訳でもない、いわゆる冗談に聞こえない冗談は不快感が溜まるだけである。あまりに自分勝手すぎる言い分を繰り返したり、相手の意見を尊重し聞こうとすらしないのにも関わらず、罵倒された本人以外にそれを咎めようとする人間がいない。なぜそれを平然とした顔で見ているのか。

 

・登場人物の喋り方が臭い

  ラノベだし仕方ないだろ!と言いたくなってしまうかも知れないが、現代社会に生きる人間が無駄に長い説明口調で会話していたら流石に痛いし臭すぎるだろう。普通の高校生がこんな長ったらしく、しかも言わなくても分かるようなことをわざわざ口に出しながら友達と会話をするのか?と聞きたくなってしまう。この喋り方で上記の罵詈雑言が飛び交うのだから、とても堪えられたものでは無い。言語表現が対して巧くないのも、それに一役買っているかもしない。

 

・価値観の押し付け。

  主に主人公がやっている事だが、「これはいいものだ、だからお前も絶対気に入る。」という価値観の押し付けを平然と行う。最初に魅力を説いた段階で、相手が理解を示さなければ、相手が嫌がっていても無理やりラノベを読ませたりゲームをやらせたりする。この展開の後、ヒロイン達が理解を示してくれたから良かったものの、普通であればその作品に悪印象を植え付けかねない行為である。仮にもクリエイターを題材にした作品であるのに、主人公がクリエイターの作った作品に対する印象を悪くしかねない行為を行うのはおかしいだろう。しかも主人公は一流のブロガーである。宣伝を得意とする人間がそんなことをするのだから手が付けられない

 

・主人公がモテる理由が分からない

  ハーレムもので不満があるとすれば、だいたいこれに尽きる。作中の言動を見ていても、主人公がモテる要素が全く分からない。メインヒロインに対しては「自分の理想と違う」、「勝手に髪型を変えるな」、「もっとヒロインらしい行動を取れ」などと自分の価値観を基準に文句をつけるなど、普通なら嫌われて当然の行為を散々行っている。端的に言って非常に傲慢なのである。他のヒロイン対しても数々の罵詈雑言を浴びせてはいるが、なぜか嫌われていない。良い印象より悪い印象を与えるシーンの方がどう見ても多いのだが、それでも主人公は好かれている。また下記で述べるように、クリエイターに対する敬意も全くと言っていいほどない。そんなに人間がクリエイターが多数を占めるヒロイン達に好かれているというのも、矛盾だらけで説得力がない。

 

・主人公のクリエイターに対する敬意が感じられない

  上記でも述べたように、作品に対して悪印象を与える行為を行う、自分の努力不足を才能のせいにして勝手に落胆する、(作中の登場人物から指摘されているが)下調べもせずゲーム制作を行うには無理なスケジュールを組もうとする、などの行為を主人公は度々行っている。そんな人間にクリエイターに対する敬意があるとはとても思えない。クリエイターに対する敬意が感じられないような人間なのに、主人公に好意を抱いている周りのヒロイン達はクリエイターばかりなのである。しかも主人公のゲーム制作に協力するヒロイン達には、ゲームの売上額という不確定要素の多い報酬以外の謝礼がないにも関わらず、ヒロイン達に自分の無理な意見を通そうとする。ヒロイン達がゲーム制作から離れても仕方がない程に無茶苦茶な行動なのだが、それでもヒロイン達は少し文句を言うばかりでゲーム制作に付き合うのである。

 

・そもそもこの作品にクリエイターに対する敬意が感じられない

  主人公の言動だけではなく、この作品そのものがクリエイターに対する敬意がないんじゃないかと思う。特にヒロイン達の設定や行動がそう思う原因である。作中に登場する2人のヒロインは自身の創作活動と主人公のゲーム制作の手伝いを同時に行っている。2つの仕事を持つこと自体はなんら問題はないのだが、その2つの仕事を処理できてないというのが問題である。原画担当の方はあくまで個人で自発的に行う同人活動であるため、片方の仕事を放棄してゲーム制作に打ち込んでも許されるだろう(結果的にどちらの仕事も成し遂げてはいる)。しかし脚本担当の方は、商業誌で活動をしているれっきとした社会人である。それなのに、主人公のゲーム制作を手伝っていたせいで肝心な商業誌での活動を疎かにするという、社会人としては明らかに不適切な行動をした。その事についても、やはり咎める人間がおらず、出版社の担当者も少し催促するだけで全く怒らない。クリエイターも立派な職業の一つであるという認識があるのだろうか。

 

・ご都合主義すぎるシナリオ・設定

  キャラ設定からしてご都合主義の塊である。創作上のキャラにそんなことを言うのは無粋だと思うが、このご都合主義によって大抵の苦難が苦難に見えないのが問題である。まず主人公がラノベやゲームの売上に大きな影響を与える凄腕ブロガー、原画担当のヒロインはR-18界隈(当の本人は未成年)超人気同人絵師、脚本担当のヒロインはウン100万と稼ぐ新人敏腕作家である。何もかも恵まれた状況からのスタートで、とても視聴者からの共感を得られたものでは無い。散々言ってきた事だが、この作品の登場人物の常識や倫理は破綻しているため、内面においても共感出来る余地があるのかは疑問である。それに加え、常人を遥かに超える恵まれた境遇にあるというのでは尚更である。

  シナリオについてだが、この作品で度々迎えることになる苦難というのは、ほとんどは登場人物たちの人間関係やゲーム制作に対する意識の問題であって、技術的な要素における苦難がほとんどない。上記で述べたことにも繋がるが、これではクリエイターに対する敬意などあったものでは無い。クリエイターだからこそ陥る苦難(キャラクターデザイン・脚本の完成度など)というものが殆ど存在しないのである。さらに、音楽担当のヒロインをゲーム制作に参加させる話であるが、これもかなりご都合主義展開で「実はお前が今まで参加してたバンドは全員オタクの集まりで、練習してた歌も全部アニソンのアレンジだったんだよ!」というオチ。音楽担当のヒロインはそのまま成り行きでゲーム制作に加わるが、その経緯そのものがよく分からない。そもそも今まで歌っていたのがアニソンだったからと言って、ゲーム制作に参加する理由にはならないだろう。ましてや当のヒロインはオタク文化が嫌いである。一体その展開のどこに納得する要素があったのだろうか。また、メインヒロインが主人公に惹かれていく過程だが、これも理解不能である。確かにギャルゲーやハーレムものでありがちなイベントをこなしてはいるものの、主人公の魅力のところで述べた通り、主人公はメインヒロインに対し散々な言葉を浴びせたり、メインヒロインの行動を制限するような注文をつけている。それなのに、メインヒロインの主人公に対する好感度は上がる一方である。主人公にいい所がない、ヒロインが主人公に惚れる理由もよく分からないのに、どうやって二人の恋の行方に思いを馳せられるんだろうか。

 

  長々と書いてしまったが、要約すると「俺はこの作品が嫌い」ということである。クリエイターに対する敬意も見受けられない、登場人物達の常識や倫理が破綻しているとしか思えない常軌を逸した言動など、とにかく不快感を感じる場面が多くて、とてもではないがどこがいいのかさっぱり分からなかった。マイナスの部分が大きすぎて、プラスの部分を探そうにも全く見つけられない。以上でお気持ち表明を終わるが、正直ファンから刺されてもおかしくはないくらい散々なこと言ったと思う。でも後悔も反省もしていない。言いたいことが言えたのでそれで満足だった。